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管理組合

分譲マンション再生における合意形成の課題とは? |『建て替え』の流れや手続きについて解説

2021.06.03
事例がまだまだ少ないマンションの建て替え。分譲マンションの再生において、特に『建て替え』に向けての合意形成は非常に困難と言われています。

なぜ、マンションの建て替えに成功するケースは少ないのか。その答えは、建て替えが簡単に実現しないことにあります。分譲マンションは区分所有という形態ゆえに多様な価値観を持つ各区分所有者の意見をまとめる必要があり、建て替えを行うことについて区分所有者の合意を得る“合意形成活動”が建て替えを困難にしている一因となっています。管理組合が機能しておらず建て替えの話すら出てこない、いわゆる「管理不全※1」のマンションも問題となっていますが、管理不全に陥っていなくとも建て替えに失敗した例は少なくありません。

※1「管理不全」とは?関連記事はこちら
老朽化と空き家増加による『マンション管理不全の恐怖』 管理組合ができる対策方法とは

 

分譲マンションの建て替え検討をはじめてから実際の建て替えに至るまでにはどのような流れや手続きがあるのでしょうか。今回は、『マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替法)』※2に基づいて分譲マンションの建て替えを進める場合の流れや手続きについて解説していきます。

※2「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替法)」については前回記事をご覧ください。
分譲マンションの修繕・改修以外の長期的対策 | 建て替えを円滑に進める『マンション建替法』とは

 

建て替え実施に至るまでの流れと手続き


それでは、建て替えが実現するまでどのような流れや手続きがあるのでしょうか。マンションの建て替えを円滑に進めるための『マンション建替法』に基づいて建て替えを実施する場合の流れと手続きは次のようになります。

 

ステップ1【準備・検討段階】


まずは長期修繕計画の見直し時や大規模修繕工事の検討の際に、一定期間は修繕・改修で維持できるのか、または、今後建て替えも含めて検討する必要があるのかを判断する必要があります。そのためには現状の老朽度を判定と区分所有者のニーズを把握した上で、修繕・改修した場合と建て替えした場合、それぞれのケースでかかる費用と改善箇所を比較します。検討した結果、建て替えが適切だと判断されたら「建替え推進決議※3」を行います。また、この段階では建て替えに詳しい専門家とパートナーとなり、建て替えまでの進め方について相談します。

※3「建替え推進決議」とは建て替え計画を進めるための決議であり、「建替え決議」とは異なるので注意。

 

ステップ2【建て替え計画段階】


区分所有者の費用負担の算出や事業協力者(デベロッパー)の選定等、建替え決議に向けて具体的に計画を立てていく段階です。この段階までに必要な手続きの確認や勉強会を始めます。

 

ステップ3【建替え決議段階】


建て替えに賛成か反対か、総会で決議を行います。大規模修繕工事(形状または効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更)は過半数以上の賛成で決議可能とされるのに対し、建て替えには5分の4以上の決議が必要となります。

 

ステップ4【マンション建替組合の設立】


建替え決議が可決され建替組合の設立が認可されると、建て替え合意者全員が建替組合の組合員になります。

 

ステップ5【反対区分所有者への売渡し請求】


建て替えが「決議」された後は、建て替えに参加するか否かを区分所有者に催告し、建て替え「合意」に進む必要があります。建て替え不参加と回答した者に対しては、その区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すよう請求することができます。つまり、建て替えに参加しない人=建て替えに合意しない人はマンションから出ていかなくてはいけないのです。

 

ステップ6【権利変換計画の作成・認可】


権利変換計画に基づき、従前マンションの区分所有権、敷地利用権、抵当権その他の権利を従後マンションに移行させます。

 

ステップ7【建て替え工事着工】


従前マンションの解体及び従後マンションの着工となります。工事の間は仮住居に転居します。

 


出典:マンション建替法広報事務局 国土交通省住宅局監修「ご存知ですか?『マンション建替法』改正について」
http://m-saisei.info/horei/enkatsuka/141224kaiseipanf.pdf


 

マンションの建て替えにおける合意形成の課題とは


建て替え合意に至るまでには、まずは建て替え事業について関心のない人にも興味を持ってもらう、そして建て替えについて理解をしてもらうといった合意形成活動に入る前段階での準備も含まれるのです。これらの準備が整った上で、区分所有者の5分の4以上の合意へと進む必要があります。

株式会社ヨコソーが発行する管理組合のための改修情報誌「リフォメーションVol.15」において、建て替えに成功されたマンションの理事長様にインタビューを行った際、マンションの建て替えにおける合意形成の難しさを次のように語ってくださいました。

 

建替えは本当に大変です。大規模修繕も大変ですけど、建替えに反対の方も何か考えを持っている、反対する理由がある。そういった方の理由も含めて、みんなで議論を積み重ねてお互いの理解を深めないといけない。そこが大きなポイントかなと私は思います。

反対される方には、いろんな理由があります。実際に建替えとなりますと、自分の財産に関係することも出てきますから、そういった面を第三者(コンサルタント、工事業者など)に説明・説得してもらったり、結構準備に時間はかかりました。

 

このように建て替えに成功されたマンションにおいても、建て替え事業における合意形成の壁は避けては通れず、管理組合様にとって大きな課題となっています。

 

まとめ


『マンション建替法』により建て替えを円滑に進めるための環境が整備されてもなお、それでも分譲マンションの建て替えは難しいのが現状です。次回の修繕ニュース「分譲マンションの建て替え | よくある失敗事例と成功させるために管理組合がやるべきこと」では、将来の建て替えに向けて管理組合としてやるべきことは何なのか解説していきます。

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