老朽化と空き家増加による『マンション管理不全の恐怖』 管理組合ができる対策方法とは

空き家=一戸建てのみでなく、近年は都心部のマンションでも空き家(空室)が増え、その増加傾向は顕著になっています。マンションは戸建てと異なり個人ではなく管理組合で建物の維持・修繕・改修をおこなっていきます。だからこそ老朽化と空き家問題を発端に発生しやすい「管理不全状態」に陥らないために管理組合がとるべき対策方法をご紹介します。

目次

実は増加しているマンションの空き家



平成25年の統計局の調査によると、東京都でも空き家は増加しており約10%が空き家となっていた結果が出たそうです。空き家の内訳割合としては一戸建てが54.9%で一番だったものの、平成20年調査時からの「増加率」で見てみると一戸建てが4.2%増(115万戸増)に対して共同住宅では6.8%増(140万戸増)と共同住宅の増加傾向が顕著となっています。

共同住宅、特にマンションであればオートロックとなっていたり上層階であれば外部からも見えないため空き家かどうかわかりづらいことや、計画的に大規模修繕工事も実施していれば老朽化対策も大丈夫だろうと考えがちです。しかし、安心して管理を疎かにしているといつの間にか管理不全状態となってしまうかもしれません。

マンションの管理不全問題とは



管理組合がきちんと機能しておらず、マンションとしての資産価値や機能を損なってしまっている状態が「管理不全」となります。しかし、そもそも管理組合が存在していないマンションもあるようです。東京都の「マンション実態調査(●●●●年実施)」によると、管理組合自体が存在しないマンションが約515棟(6.5%)存在するとのことですが、80%を超えるマンションが調査用アンケートに未回答であったことからその数は更に多いと考えられます。

自分たちのマンションを維持管理していくための管理組合が存在しない状態では、また、存在はしているものの全く機能できていない状態ではどのようなことが想定されるのでしょうか。

・区分所有法で定められている「毎年1回の定期総会開催」が実施されない
→役員の交代をはじめ必要な決議が行えない

・管理費や修繕積立金等の管理がされない
→管理不全や修繕の不足によるマンションの劣化

・積立金等が滞納されていたとしても督促がされない
→修繕積立金不足で大規模修繕工事が困難に

・日常管理すらされなくなる可能性がある
→掃除もされず廊下の電球も取り換えられない状態に

・大規模修繕工事等も実施されずに建物の劣化進行や外壁タイル落下など危険な状態に陥る可能性がある
→マンションの劣化による事故もあり得る状態に

・財政状況の管理ができていないと総会で決議される決算書等が作成できない可能性が高い
→滞納状態や現在の金額が不明瞭に

・マンションを売却したい場合でも資産価値を査定することが難しく買い手が現れない可能性が高い
→相続放棄などで空き家が増加

などが考えられます。

上記のような管理不全状態にあるマンションに新規に住みたいという人はいるでしょうか。管理がされていないマンションに住みたいという人は少ないと思いますので(ボロボロな設備や管理が行き届いていない状態でも“安ければ”住みたいという方もいるようですが)、一般的には新規の区分所有者が現れずに空き家が増えていくことが考えられます。

こうなってきてしまうと管理費や修繕積立金が当初想定されていたよりも不足してしまいますし、そもそも財政管理がされておらず滞納者が増えているのに放置してしまうとより一層財政状況が悪化していきます。修繕や改修ができないまま建物がどんどん劣化して、さらに空き家が増加する――。と悪いスパイラルに陥ってしまいます。

管理不全に陥らないためにしておきたいこと




このような状態となってしまう背景には、区分所有者の管理組合活動への無関心をはじめ、高齢化そして「賃貸化(投資物件としての活用)」の進行などが要因として挙げることができるでしょう。一つの要因であれば対処もできると思いますが、様々な要因が重なりあうことにより管理組合を十分に機能させるための負担が大きくなり、対応するのが困難な状況になっていきます。

管理不全に陥らせないためには予防対策が必要でしょう。
1.区分所有者および居住者リストの作成と把握
2.財政状況の管理および将来の修繕・改修を見据えた管理費や修繕積立金の確保
3.既存の区分所有者およびこれから新規で購入されて区分所有者となる方への管理組合活動の啓蒙の実施
などを行っていくことで管理不全対策となります。

区分所有者に義務として求められていること、その義務を怠ってしまうとどのような状況になってしまうのかといったリスクも含めた啓蒙活動をはじめ、管理組合活動を通じて自分たちのマンションの資産価値を維持・向上を実現していくという力強い組織づくりを行っていくことが重要です。

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