修繕積立金はいざというときのためのマンションの貯金! 基本事項の確認と不足した場合の対策方法

事前に計画されていた支出以外に、自然災害等の不測事態での修繕や敷地や共用部分の変更、その他設備の改修など建物の資産価値を維持・向上させていくために無くてはならないマンションの重要な貯金・資金源である『修繕積立金』について改めて確認してみましょう。

目次

修繕積立金とは



マンションで建物の共用部分(屋上や外壁、階段、廊下、エントランスなど)を維持・修繕するために実施する「大規模修繕工事」などに必要な資金を確保するため、区分所有者から毎月一定額を徴収して積立てているお金のことです。大規模修繕工事は一度きりではなく、長期修繕計画をもとに十数年ごとに実施されることが一般的であり、回数を重ねるごとに(新築時からの築年数が経過するごとに劣化箇所も増えるために)費用が大きくなる傾向があります。そのため、資金不足に陥らないように適切に徴収・積立てをしていくことが重要となります。

マンション管理組合ごとに積立てる金額や方式は異なりますが、一般的には下記の方式で徴収されることが多いです。

<均等積立方式>
毎月一定額を継続して積立てていく方式。後から負担が大きくなることもないので経済的には一番望ましい方式でしょう。

<段階増額積立方式>
一定期間ごとに段階的に徴収される金額が増加していく方式。当初の負担は軽減されますが、増加後の負担が大きくなることから滞納が発生したり計画通りに増額できない場合もあるようです。

<一時金徴収方式>
毎月の積立金では金額が不足されることが分かっている場合、予め明示して不足金額を一時金等により徴収する方式。一時金を用意できない方などが発生すると計画通りに資金確保ができない場合もあるようです。

「修繕積立金の不足」はなぜ起きてしまう?



実は……大規模修繕計画を検討・作成するタイミングになってから「修繕積立金が不足している!」と気付くケースは意外と多いようです。さらに、日本経済新聞社の調査によると全国にある約7割のマンションで修繕積立金が国の指標とする水準に達していなかったのだそう。修繕積立金不足はなぜ起きてしまうのでしょうか。理由は様々ですがよくある事例をいくつか紹介します。

1.長期修繕計画の精度が低い、または、適切な更新が行われていない
長期修繕計画とは修繕積立金の算出根拠となる重要な計画書のことですが、必要最低限の修繕内容しか盛り込まれていなかったり、新築時に計画されたまま更新や見直しをしていない管理組合が多いようです。建物ごとや立地環境ごとに劣化状況は異なりますので、一定期間ごとに長期修繕計画および修繕積立金計画が適切であるか管理するとよいでしょう。

2.修繕積立金を値上げして余裕を持って積立てていきたいが賛同が得られない
新築販売時に販売しやすいように修繕積立金や管理費が低く設定されている場合があるようです。この場合でも、一定の時期からの値上げをすることで充足させようと想定していると思われますが、計画通りの値上げを実施できているマンションばかりではないようです。社会事情(消費税率引き上げや工事代金の高騰など)の理由であれば賛同も得やすいのかもしれませんが、やはり「値上げ」はスムーズにいかず、時期が予定よりも先送りされたり最後まで値上げできないケースもあるようです。

3.滞納者がいる、また、滞納者への督促などの管理ができていない
当たり前ですが修繕積立金を滞納する区分所有者がいる場合、滞納された分だけ資金が不足しますし、滞納者に対する督促などの管理がされていないと滞納者だらけになってしまう懸念も出てきます。また、超高齢化社会を迎えた現在では同時に区分所有者の高齢化も進み、経済的に修繕積立金を支払う余裕が無くなってくる人が増えればそれだけ滞納も増加する可能性が考えられます。

修繕積立金が不足しそうな場合の対応方法



どの管理組合でも「修繕積立金不足」の状態には陥りたくないもの。それでも、もし不足してしまった場合や今後不足しそうな見込みがある場合にはどのような対応をすれば良いのでしょうか。不足している(しそうな)以上、何かしらの方法で補う必要がありますが、「一時金の徴収」「修繕積立金の値上げ」以外の参考例をいくつか記載します。

1.修繕積立金を運用する
代表的なものとして、住宅金融支援機構が扱っている「マンションすまい・る債」という債券があります。募集時期が設定されていることもあり、いつでも開始できるものではありませんが、要件を満たせばどなたでも活用が可能とのこと。住宅金融支援機構の大規模修繕工事用ローン「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際の金利引き下げなどの特典もあるようです。

下記は住宅金融支援機構のHPとなります。
・マンションすまい・る債について https://www.jhf.go.jp/loan/kanri/smile/index.html
・マンション共用部分リフォーム融資について https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/mansionreform/index.html

2.不足している費用を金融機関等から借り入れる
管理組合が金融機関等から借り入れをして取り急ぎ工事費用を確保します。しかし、この場合には金融機関への毎月の返済のために結局は修繕積立金を値上げする必要がでてくるでしょう。住宅金融支援機構からの借り入れ条件を満たさない場合に活用されるシーンが多いようですが、利用する際にはローン会社・リース会社のサービス内容をよく検討して自分たちのマンションにあったサービスを活用するようにしましょう。

まとめ

今回の修繕NEWSでは、マンション修繕積立金が不足してしまう要因や不足してしまった際のリスク、そしてそうならないようにするための対策方法について紹介しました。マンションの資産価値の維持のみでなく、修繕をしっかり行うことによって大切な家族の生活・安全安心して住まうことのできる環境を守るためにも、管理組合でしっかりと修繕積立金を管理していきましょう。

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