建物劣化の再発防止には根本原因の解決を|社員インタビューvol.01

大規模修繕工事を進める上で欠かせない“現場代理人”

大規模修繕工事自体は多くの人で成り立っていますが、補修作業を行う作業員をまとめ、工事を進める監督の役割を担う現場代理人は、居住者の方にとって最も身近な工事関係者であり、なにかあれば真っ先に相談先となります。工事がうまくいくかどうかは現場代理人にかかっているといっても過言ではないかもしれません。

そんな現場代理人は大規模修繕工事に対してどのような考えを持って工事を進めているのでしょうか。「現場代理人インタビュー“大規模修繕への想い”」第1回は現場代理人歴8年の東京工事部/寺谷にインタビューしました。

目次

大規模修繕工事の施工管理を行う上でどのようなことを大切にしていますか?

工事は「段取り八分」だと思っているので、工事が始まる前にいかに準備をするかを重視しています。

工事が始まる前に工程を全て組んでおくことはもちろんですが、そのためにはまずどのような建物か事前にしっかりと把握している必要がありますよね。なので、大規模修繕工事をする建物に初めて行く時は、事前に仕様や工事内容を頭に入れた上であまり経験したことのない工法や仕様になっている場所を重点的に見るようにしています。常に新しい工法や材料がでているので、工事の内容が頭に入った状態で見ないとただ見学しただけになってしまいますから。

建物や工事内容がしっかりと把握できたら、大体工事が始まる1か月前にはすべての工種の協力会社と打合せをして、作業期間や人数、作業をどこから進めていくかまで決めています。たとえ作業に入るのが数ヶ月先だとしても、工事が始まる前にすべて決めておけば、作業が始まった後は打合せ通りに進めるだけなので、余計な手間がかからないんです。

人数や期間が曖昧なまま工事が始まってしまうと、工事に入ってから作業員の人数が足りなくなったり、作業の進め方を決めるのに時間がかかってしまってスムーズに工事が進まないんですね。作業員が不足しやすい時期でも、大きな現場では下地補修工事だけで30~40人の作業員が必要になる場合もあるので、工事をすることが決まったらすぐに人員確保します。

工事が始まる前に何回も同じ協力会社と打合せすることもあり、朝から晩まで何日も打合せということもありますよ。工事が始まってからはもちろんお客様の安全や快適性といったことにも気を配りますが、予めお客様のことも考慮して計画しているので、計画通りに進められるようにすることが結果的にお客様の安全や快適さにつながると思っています。



 

お客様の満足という点ではどのような工夫をされていますか?

お客様への対応でも、やはり「段取り八分」ですね。なるべく早くお客様のご要望を把握して、確実に対応をすることがお客様の満足へとつながるのではないかと思います。例えば工事前に不具合箇所がないかを伺う着工前アンケートは、工事説明会が終わり次第すぐにアンケート用紙をお配りして、返信があったお客様についてはすべてお手紙でご返答します。工事の対象となる補修が必要な不具合があったお客様については、実際にご自宅に伺って不具合箇所の確認と補修方法のご説明をして、工事が始まったら1つずつ確認しながら補修を行いますね。

戸数が多いマンションでは複数の代理人で一緒に工事をすることもあるのですが、こういったアンケートもリスト化して事務所に掲示したり、お客様からお問い合わせいただいたことを書くための専用掲示板を設けたりしてうっかり忘れてしまうのを防ぐようにもしています。誰かがお客様から言われたことを一人で抱えてしまうと、お客様との約束を忘れてしまったり話が行違ってしまったりして、結果的にお客様にご迷惑をおかけしてしまうので。同じように、作業員と打合せしたことなども工事専用の掲示板に書いて共有するようにしています。現場代理人が複数いる時はとにかく共有できるようにするのが大切ですね。



 

大規模修繕工事の補修で一番重要視しているところはどのようなことですか?

もともと12年ほど新築工事の現場監督をしていたので、構造的な原因があればそこから補修を行い劣化の再発を防止することは重要視しています。マンションなどはコンクリートでできた建物なので、構造的に力がかかってしまっているところから劣化してしまうんですね。

例えば同じように見える壁のヒビでも、向きや深さを見てみるとただの経年劣化ではなく構造的な欠陥が原因となっている場合もあります。構造的な欠陥が原因でできたヒビは、ただ表面のコンクリートを埋めただけでは根本的な問題が解決していないためにすぐに再発してしまいます。ヒビの原因に合わせて構造の補強を入れたり、シーリングを新設したりと、原因から対処をすることがマンションの劣化を防ぐという面で重要だと思います。

しっかりとした補修ができていないと、再発したヒビが広がってコンクリートが割れてしまったり、ヒビから漏水してしまったりとさらに劣化が進行してしまう原因になりますから。マンションの劣化といっても色々ありますが、こういった補修方法の選定から細かい補修方法まで、作業員に伝えて管理をすることが結果的に劣化を防ぐことにつながると思います。



 

新築の現場監督を長く経験されていたとのことですが、大規模修繕工事の現場代理人とはどのようなところが違いますか?

新築は一から建物を建てるので、それはそれで難しいところもあるのですが、大規模修繕工事では居住者の方がいる状態で工事を行うというのが最も大きな違いだと思います。新築工事は手はずを整えれば多少時期が前後しても工事を行うことができますが、大規模修繕工事では居住者様へのお知らせ通りに進めなければいけないので、作業日程を大きくずらすということが私の一存ではできません。

工事内容という意味では新築工事の方が大変なのですが、大規模修繕工事ではいかにお客様の生活環境に影響を与えないようにするかに気を配る必要があります。例えばベランダ部分の作業を早く進めたいからといって一気に作業を進めようとすると、お知らせしていた以上に当日の作業範囲が広がり、お客様が急に洗濯物を干せない状況になってしまいます。

作業を効率よく進めることはもちろん必要ですが、お客様がなるべく不便な思いをしないように配慮することが一番大切だと思いますね。そして、お客様に配慮するということは、安全に作業を行い、事故を防ぐということにもつながります。

大規模修繕工事が仕事の現場代理人にとっては、大規模修繕工事を行っている状態が通常ですが、そのマンションに十数年と住んでいるお客様にとっては大規模修繕工事を行っていない状態が通常です。そのため、通路にちょっとした脚立や工具が置いてあったり、材料で少し道幅が狭くなるだけでも、違和感や不安を感じたり、万が一には事故につながってしまう可能性があります。十数年間何もなかった通路に突然物が置いてあったら、何もない通路に慣れているからこそ、いつものように歩いてぶつかってしまったり、転んでしまったりしまうかもしれませんよね。

お客様第一、その次が工事ですので、作業員には脚立の置き方や、物の置き忘れに注意するよう口を酸っぱくして指示しています。事故なく安全に工事を進め、最後に足場が撤去された時に外から見て、大規模修繕工事前よりもきれいになっていることを実感すると、とてもやりがいを感じますね。

 

第一回は東京工事部/寺谷へのインタビューでした。「段取り八分」で準備を入念に行っているからこそ、工事を円滑に進めることができ、結果的にお客様にとっても快適にすごせる環境づくりができるのですね。安全で快適なお客様にとって通常の状態になるべく近づける工夫は、大規模修繕工事ならではかもしれません。
(2019.04インタビュー実施)

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