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管理組合

被災経験者アンケートから見る震災時に自助で不足する物とマンション管理組合での対策

2020.03.02
大規模な自然災害が頻発する近年、全体的に防災への意識が高まりマンション管理組合で防災対策が議題に上がることも多くなったかと思います。管理組合での防災活動は防災訓練や防災マニュアルの作成、共助体制の整備といった“共助”を中心として考えられているかと思いますが、同様に各家庭の自助については考えられているでしょうか。今回は2018年の自然災害被災者の方を対象としたアンケートを基に、各家庭の自助の現状とマンション管理組合での対策についてご紹介します。

各家庭の防災対策の現状




マンション管理組合での防災活動のメインは“共助”になりますが、防災活動を考える上では各家庭での“自助の推進”を含めて共助と自助の両方を考える必要があります。なぜならば、自助により各家庭において最低限の生活環境が確保できていないと、共助体制を機能させることができないためです。大きな防災倉庫があり全居住者分の備蓄品をマンション管理組合で管理することができれば少なくとも備蓄品の不足を防ぐことはできますが、そこまで大きな倉庫を備えているマンションはほとんどありません。また、家族構成によっても必要な物が変わるためそれらすべてをマンション管理組合で管理するのは現実的ではないといえます。

そこで、管理組合では備蓄や避難経路の確認といった自助を呼びかけて各家庭で備えてもらったり、共助に必要な物を備蓄したり、共助体制をつくっておくというのが基本的なマンション防災の考え方になりますが、実際にこの各家庭の自助がどの程度機能するかご存知でしょうか。

2018年は、大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震、台風24号と多くの自然災害が発生した年となりました。その2018年に発生した自然災害被災者かつ子育て世帯を対象にDMCホールディングス株式会社が実施した「2018年自然災害被災者に聞いた、防災についてのアンケート」を見ると、発災後自助への備えが十分ではなかった家庭が多いことがわかります。

同調査によると「被災前に自宅で災害対策グッズを用意していましたか?」という問いに対し、「用意していて、十分に役に立った」と回答している方はわずか9%。「用意していなかった」、「用意しないといけないと思っていたが用意していなかった」、「用意していたが不十分だった」と回答している方の合計が91%と、ほとんどの方は自助への備えが十分でなかったと感じています。



引用元:https://www.dcm-hldgs.co.jp/feature/20190306105611.html

こちらのアンケートで注目したいのが、まったく用意していなかった方は23%であり、全体の半数以上の方は用意していた、もしくは用意する意識はあった上で十分に備えられていなかったということです。近年多発する自然災害で防災意識自体は高まってきているのかもしれませんが、実際に備蓄するとなると備蓄できていない理由があったり、正しい知識がなく不足してしまっているのが現状のようです。それでは備蓄品の中でも特に備えが不十分と感じられていた物は何だったのでしょうか。

被災時に本当に必要な物は何なのか


前述の調査では「発災後の3日間で“あってよかったもの” “なくてこまったもの”“絶対用意すべきと感じたもの”は何ですか。」という調査も実施しており、上位5位をみてみると「モバイルバッテリー(84%)」「水(51%)」「電池(51%)」「ランタン(47%)」「保存食(44%)」と電気、水、食糧の確保といったライフラインの停止が生活に大きく影響を及ぼすことが分かります。

特に必要と感じた方が多いモバイルバッテリーは、”なくて困った“と回答している方が約40%と、備えきれていなかった方も多かったよう。公衆電話が少なくなってきている現代において、スマートフォンや携帯電話は災害時の連絡ツールや情報ツールとして欠かせないもの。これらの”自助への備え不足“に管理組合ではどのような対策が考えられるのでしょうか。



引用元:https://www.dcm-hldgs.co.jp/feature/20190306105611.html

災害時の電力不足に備える管理組合の対策方法




大規模災害に備え近年増加しているのがポータブル発電機です。ガソリンやカセットガスを燃料に発電することができ、燃料があれば電力を賄うことができます。インフラの中で最も早く復旧するといわれているのが電力ではありますが、これだけ困った方が多いことを考えると備えておいた方が良いと言えるのではないでしょうか。カセットボンベで発電できるタイプであれば、各家庭で備蓄しておいたカセットボンベで発電することもできるため、燃料の確保に困った時も使いやすいかもしれません。

ポータブル発電機は点検の手間などを考えると二の足を踏んでしまう……という方は、使いきりの電源も便利です。燃料が必要ない分使いきりにはなってしまいますが、保存容器から取り出すだけで発電できる『エイターナス』などは、スマートフォンなどの携帯電話であれば最大50台充電できるそう。空気さえあれば発電することができ、使わない時は保存袋にしまえば電力を温存することもできる優れものです。ポータブル発電機と比較すると扱いも簡単ですので、ポータブル発電機の備蓄が難しいマンションではこういった使いきりの電源を確保しておくだけでも被災時の安心感につながるかもしれません。


エイターナスの紹介記事は弊社運営サイト”いい住まい”にて掲載しております。
https://www.esumai.jp/article/4752.html

防災マニュアルが抱える課題




マンション管理組合で各家庭の備蓄品不足に備えておくことができれば理想的ですが、前述のアンケートの不足物は基本的には各家庭で備えておく物ですので、管理組合としては各家庭での備蓄を推進することが基本になります。備蓄は目で見て分かりやすく比較的手を付けやすいですが、防災活動で意外と抜けがちなものが普段の管理組合の“広報活動”です。

総会に出席できない方や、管理組合活動に関心が低い方は普段管理組合が何をしているのかも知らず、輪番制の場合は理事になって初めて管理組合の役割を知るという方もいるよう。管理組合が積極的に防災訓練や防災用品の備蓄、各家庭での備蓄推進活動をしていても、それを知っている居住者の方がいなければ災害時に自助・共助を有効的に機能させることができません。

例えばマンション管理組合内に防災組織があれば、災害時のマンション内での共助体制などをまとめた防災マニュアルを作っている組合が多いかと思いますが、その防災マニュアルを配布するだけではなく広報活動も含めて防災活動をされているでしょうか。株式会社つなぐネットコミュニケーションズ マンション・ラボが2,666名を対象に実施した「マンションの防災対策 意識調査アンケート」によると、「お住まいのマンションに防災マニュアルはありますか?」というアンケートに対して、「ある(26.8%)」「準備中(5.2%)」「ない(16.4%)」を超える半数以上の方が「わからない(51.6%)」と回答しています。



引用元:https://www.mlab.ne.jp/enquete/results/results_20170830/

防災マニュアルがないのはマンション防災という観点でいうと大きな問題ですが、あるかどうかも分からない居住者の方が半数以上というのは衝撃的な数字といえるのではないでしょうか。さらに、防災マニュアルがあると回答した方でも、防災マニュアルの内容を把握している方は61.6%と、防災マニュアルがあっても内容を把握していない方もいらっしゃるのが現状のようです。



引用元:https://www.mlab.ne.jp/enquete/results/results_20170830/

防災マニュアルに限らず、備蓄品や設備でもその存在を知って使えるようにしておくことはマンション全体の防災力を大きく高めます。そのためには、防災訓練などの実施と共に普段から管理組合の活動を伝える広報活動が重要なのです。

総会や理事会の後に全戸配布する議事録は、記録として事細かに記載しておく必要がある一方で、文字が多く読む方の負担が大きいという面もあります。そこで、必要な情報を周知するための要となるのが管理組合の広報です。例えば、議事録とは別に、対象住戸にだけお知らせを配布したり、全住戸に必要な情報をまとめた広報誌を発行するといった広報活動を実施することで、必要な情報と認識してもらう効果が期待できます。
しかし、マンション標準管理規約には記載がない役職のため、広報担当がおらず議事録の配布で終わってしまっていることもあるのではないでしょうか。広報活動は一見、防災と関係がないようにも見えますが、防災のみならずマンション管理組合の活動と機能を最大限に生かすために必要不可欠と言っても過言ではありません。また、マンション内のイベントを周知することで参加者が増えれば、マンションコミュニティの活性化にもつながります。広報活動があまり活発ではないと感じている場合は、防災についての取り組みの一部として、広報活動も一緒に見直してみても良いのではないでしょうか。

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