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アンケートで多かったお悩みに回答します!工事の対象範囲ってどこまで?|大規模修繕に関するお悩み解決vol.01
ヨコソーではこの度マンションにお住まいの方に向けた情報サイト『マンション・ラボ』様と共同でマンションの大規模修繕工事に関するアンケートを実施し、2,588名のマンション居住者の皆様にご回答いただきました。
今回のアンケートでは「素人だから大規模修繕工事についてよく分からないことがたくさんある。」など大規模修繕工事について専門知識を持たないままの状態で準備や計画、工事を進めていかなければならないことに対する不安のお声を多くいただきました。マンションにお住まいの皆様にとって十数年に一度の大規模修繕工事は、分からないことだらけで不安になるのは当然だと思います。
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今回の修繕成功Magazineでは特に回答の多かった
「マンションのどの部分を修理するのか明確に知りたい。」
「共用部分と専有部分との区別がわかりにくい。」
「工事の内訳・対象範囲が難しくてわからない。」
といった大規模修繕工事の施工対象箇所(共用部分)と施工対象外の箇所(専有部分)についてマンション標準管理規約を基に解説していきます。
あなたは答えられる?マンション共用部分・専有部分クイズ
Q1.ベランダは共用部分?専有部分?
A.正解は「共用部分」
ベランダやバルコニー、専用庭、テラス等は、各戸の居住者のみが使用できる”専用使用権”が認められた共用部分となるため専有部と勘違いしやすい箇所です。
専用使用権のある箇所(専用使用部分)は共用部分ではありますが、第三者が勝手に出入りすることができないため、日常清掃などのメンテナンスは各戸の居住者負担となります。また、バルコニーは緊急時の避難経路となっていますので、各戸の居住者は避難ハッチやパーテーション(隔て板)の付近には荷物を置かずに、避難経路を確保しておくよう管理規約で定められています。
Q2.窓ガラスは共用部分?専有部分?
A.正解は「共用部分」
共用部分に面した窓ガラスやその周辺部分(サッシ、掃き出し窓、出窓、共用廊下に面した窓などすべての窓・雨戸・網戸)も専用使用権の認められた共用部分(専用使用部分)になります。なおベランダやバルコニーと同様、日常清掃や居住者が使用していて破損した場合の修理費用といったメンテナンスは、各戸の居住者負担となるため注意が必要です。
Q3.玄関扉は共用部分?専有部分?
A.正解は外側(共用廊下側)=「共用部分」、内側(室内側)=「専有部分」。
玄関扉(枠含む)は外側と内側で扱いが異なるため間違えやすい部分です。廊下側は共用部分、室内側は専有部分となるため、玄関ドア自体を交換したり、玄関ドアに穴をあけてダブルロックにするための錠を設置するといった工事を管理組合の許可なくすることはできません。ただし、国土交通省が定める「マンション標準管理規約」では錠及び室内部分は専有部分とされていますので玄関ドアの内側だけであれば塗装をしたり、シートを貼ることは可能です。外側は「共用部分」、内側と錠は「専有部分」と覚えておきましょう。
Q4.給水管は共用部分?専有部分?
A.正解は本管~メーター=「共用部分」、メーター~室内につながる枝管=「専有部分」
国土交通省が定める『マンション標準管理規約」ではこのように定められています。
ちなみに、排水管の場合は上階からの排水が合流し1階までまとめて排出させるための垂直方向に伸びた立管(縦管・竪管ともいう)と横引き管との継手部分は室内側含め共用部分となるため注意が必要です。給排水管は共用部分・専有部分の区別が複雑な上に、老朽化などに気付きにくい部分ですので、給排水管からの漏水が発生した場合の修理責任や費用責任のトラブルを避けるために管理規約を改正しすべて共用部分としている管理組合もあります。給排水管からの漏水事故はマンションのトラブルでも比較的発生しやすい事故ですので、専有部分の場合はメンテナンスが重要です。管理組合と区分所有者どちらに管理責任があるかお住まいのマンションの管理規約をよく確認しておきましょう。
これまで紹介した共用部分・専有部分の区別は、すべて国土交通省の「マンション標準管理規約」に基づく一般的な区別となります。マンションごとに定められている管理規約によっては共用部分と専有部分の区別は異なる場合があります。お住まいのマンションの管理規約をよく確認しましょう。
間違えやすい共用部分・専有部分【まとめ】
マンションの共用廊下や階段、エレベーター、集会室などは共用部分とイメージしやすいですが、他にも間違えやすい共用部分・専有部分の区別をまとめてみました。
出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント」
大規模修繕工事は「共用部分」を修繕する工事
大規模修繕工事の工事対象は「共用部分」です。「専有部分」は区分所有者で自由にリフォームすることができます。
そして、この大規模修繕工事の工事内容は各マンションの長期修繕計画に基づいて決定しますが、この長期修繕計画には、建物の修繕費だけでなく給排水設備や機械式駐車場などマンション全体の修繕計画も含まれます。大規模修繕工事は、場所や部位ごとの劣化の度合いに合わせてバランスの良い工事内容・範囲となるように計画・実行する必要がありますので、大規模修繕工事と一言で言っても施工範囲はマンション毎に異なります。
まとめ
今回は、大規模修繕工事に関するお悩みの一つ『マンションの共用部分・専有部分の区別』についてマンション標準管理規約に基づいた基本をお伝えした上で、『大規模修繕工事の工事対象範囲』について解説しました。
今後もアンケート結果をもとに、大規模修繕工事に関する基礎知識から、いざ大規模修繕工事が始まったら何に気を付ければよいのか等、大規模修繕工事に関するさまざまな疑問にお答えしていきます。少しでも多くの大規模修繕工事に関するお悩みやご不明点を解消し、資産価値の向上につながる大規模修繕工事へとつなげていただければ幸いです。
大規模修繕工事に関してご不明な点がございましたらヨコソーまでお気軽にご相談ください。
<アンケート概要>
・調査名 マンションの⼤規模修繕⼯事に関するアンケート
・調査⽅法 インターネットリサーチ(「マンション・ラボ」:https://www.mlab.ne.jp/)
・実施期間 2021年1⽉29⽇(⾦)〜2021年2⽉15⽇(⽉)
・調査対象 「マンション・ラボ」リサーチ会員(マンションにお住まいの方)
・アンケート結果はこちら